エッセイ

Igor Gefter

「音楽での会話」

イゴール ゲフター:

私たちが出会ったのは1996年、私がまだ23歳の時でした。 フィンランドの素晴らしいフルート奏者ウッラ・ショコさんにトリオを組まないかと誘われ、ハイドン作曲「フルート・チェロとピアノのためのトリオ」の全曲を演奏することになりました。アルバートは、私が技巧的なソリストであると同時に、室内楽での相性も良いと感じ、その後デュオとして一緒に演奏するようになりました。 また、ニューヨーク・フィルハーモニックのウラジーミル・ツィピン、ボストン交響楽団のアレクサンダー・ヴェリンゾンとのトリオも楽しみました。


アルバート ロト:

トロント交響楽団がイゴールを常任楽団員として迎え入れるまでの数年間、私たちは一緒に演奏しました。イゴールはニューヨークを離れ、10代の頃にロシアからカナダに移住した後、ジュリアード音楽院に入学し、現在はカナダでキャリアを積んでいます。私たちのリハーサルは、非常に独特な性格を持っていました。ほとんどの場合、私たちは何も話さず、ただ共に演奏しました。私たちの間には、演奏の仕方について賛否があるわけではないのです。主にフランスとアメリカで共演しました。私たちの音楽的な相性は自然で、ごく自然に音楽を楽しんでいました。私は、イゴールがまだ学生だったにもかかわらず、代役のチェリストとして演奏していたニューヨーク・フィルハーモニックの演奏を聞きに行きました。それらの演奏について、お互いに好みや演奏スタイルの観点から議論しました。そしてその後は、あまりコメントをせずにリハーサルを進めていきました。


イゴール ゲフター:

また、私たちはリハーサルや演奏をするときに、お互いを見ないようにしていたことも、とても特別なことでした。アルバートは、ピアニストとして常に自由を感じていました。私は、音楽そのものがなめらかに、そして自由に私自身のところに降りて来るのを感じていました。


ここでは、ショパン・ソナタのリハーサルの様子をビデオでご紹介します。私たちの喜びを分かち合えることを願っています。

                                                                            Albert Lotto,Igor Gefter,