エッセイ

長谷川 智

私は人間的成長を促す技術の学び方を40年近く研究してきました。

 日本には「道」という考え方があります。それは、柔道、花道、茶道、剣道などに代表され、それらは古来より、技術の習得を通して人格的に心を成長させると言われています。

 しかし大方は表面上の建前であって、それを本気で取り組んでいる人が、実の所どれだけいるのでしょうか。

 私は、ロト先生からその本気の取り組みをいつも感じます。ロト先生の本気で音楽へ取り組む姿勢に「道」の思想を強く感じるのです。

 昔から語られてきた心と身体の心身相関は、現代科学的な証明がなされつつあります。

例えば、ストレスで心が病むと、当然身体の具合悪くなり、様々な病気に繋がっていきます。しかし、良き心を出すことで身体も健康になることはあまり知られていません。

近年「愛する、愛情を持つ」という感情は、オキシトシンという物質を分泌させることが分かってきました。これは、愛情ホルモンと言われ、ストレスに強いばかりでなく、自閉症や鬱病などの治療薬として日米の大学で研究されています。

 ロト先生は、「音楽というものは人々を幸せにするためにあるものだ」と仰っています。

そしてロト先生の演奏には哲学、感情、身体の使い方、この三つが見事に統合されているように感じるのです。

 私はロト先生に出会い、クラシック音楽の深みを見せて頂いているような気がします。