エッセイ

金子 智由利

マイライフ

このような場に私が参加させていただいて良いのか、迷いながら書いております。

私は父の仕事の関係で小学校の一時期をベトナムで過ごす事になり、フランスの音楽院を卒業され、サイゴン(現在のホーチミン)音楽大学の先生に師事しました。ご自宅でのレッスンはフランス語で全く言葉が理解出来ないなか何故か音楽の意味を感じました。初めてのレッスンの日、ダカンのかっこうを楽しく教えていただいた記憶があります。今でも大好きな曲です。

その後も父の赴任先でレッスンは続けていく事になります。環境が変化してもレッスンを続けさせてくれた両親から、ピアノというかけがえのない人生のプレゼントを贈られていたということに気づいたのは、もう人生も半分を過ぎ、色々な出会いが与えられた今になってからですが、改めて亡き両親に感謝しています。

音楽教室くれっしぇんどを主宰し、小さな生徒さんが初めてピアノと触れ合う大切な時間を共有出来ることは、とても嬉しい瞬間です。また関先生を通じロト先生のピアノの響き、奥行き、色彩、厚み、輝き、優しさ、そしてとてつもなく広い世界を感じる機会を与えて頂いたこと、幸せに思います。ロト先生がレッスンをされるとき、子供達が緊張するのではなく、むしろ心が解き放たれ音楽に身を委ねているのではないかという感覚を覚えました。それは、私が子供の頃感じた、言葉を超えた音楽のあの喜びと同じ感覚でした。この様な機会を与えていただいたロト先生に感謝とお礼を申し上げます。